SDGsは2030年までに持続可能でよりよい社会の実現を目指す国際目標として、2015年9月に国連サミットで採択されました。地球上の「誰一人取り残さない」という理念のもとに、17の目標とそこから細分化された169のターゲットから構成されており、世界中の国や組織だけでなく、個人も含めた全人類共通の目標とされています。下記のアイコンをクリックすると、gooddo マガジン | 社会課題やSDGsに特化した情報メディアのサイトにて各目標の詳細を確認できます。
section 1. SDGsの認知度は51.9%
日本のSDGsの認知度はここ数年で飛躍的に向上し、2021年2月には5割を超えました(SDGsについて「内容を知っている」「内容をある程度知っている」「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」の合計)。しかし、世界の平均認知度(2019年時点で74%)に比べると依然として低い状況です。また、日本の認知度において特徴的なことは、社会人に比べて学生の認知度が非常に高いことです。これは多くの大学における取り組みや、2020年度にSDGsが小学校の新学習指導要領に取り入れられたことが一因であると考えられます。大人にもより良い未来を次の世代に残す責任があるので、若い世代だけでなく全員で積極的に問題意識を持ち、SDGsに取り組む必要があります。
section 2. 私たちができること
全体的な認知度は上昇している一方で、SDGsを意識して行動している層はどの年代でも1割程度にとどまっています。また、全体の6割以上がSDGs達成のために具体的に何をしたら良いかわからないという調査結果もあります。確かにそれぞれの目標は壮大で、個人の力では太刀打ちできないものに思えるかも知れませんが、多くの人が自分ごととして捉え関心を持つことで、目標達成に大きく近づけていくことができます。
section 2.1. 調べる、関心を持つ
まずは17の目標のうち、気になるもの身近に感じられるものから内容を確認してみましょう。調べて関心を持つことが大きな一歩になります。
ファクトフルネス
SDGsに集約される様々な課題とポジティブに向き合うために、ハンス・ロスリングによる「ファクトフルネス」の考え方を参考にすることをお勧めします。この本は、例えば世界が「金持ちグループ」と「貧乏グループ」に分断されているという思い込みや、悪いニュースの方が広まりやすいことなど、人間がもつ本能である「ドラマチックすぎる世界の見方」について説明しており、この本能が引き起こす勘違いに気づいて、データを基に世界を正しくを見ることで、世界はよくなりつつあると理解できると説いています。SDGsが示す通り世界にはまだまだ深刻な問題が山積し、早急な取り組みが必要なことは事実ですが、同時に改善された点も多くあることを知っておきましょう。先人の努力によって世界の様々な問題が改善傾向にあるということは、私たちの努力もまた確実に問題解決につながることを示しています。
section 2.2. 各団体の取り組みを応援する: 企業応援・ふるさと納税・寄付・クラウドファンディング
企業・自治体・NGO/NPOなどの団体の取り組みを知り、共感できる活動があれば応援してみましょう。企業には製品を購入して応援したり、自治体にはふるさと納税で応援、NGO/NPO団体には寄付やクラウドファンディングで応援するなど、様々な形で貢献することができます。外務省の取組事例のページにはSDGsの目標別、企業・自治体・NGO/NPOなどの団体別に事例がたくさん紹介されています。外務省のページには紹介されていないものの個人的に素晴らしいと感じた取り組みを以下に紹介します。
アイディアで貢献:CLFZ関税撤廃の提案
児童労働の撤廃と予防に取り組む認定NPO法人ACEの取り組みにより、「児童労働がない地域:CLFZ(Child Labor Free Zone)」を認証する制度が、2020年3月にガーナで設立されました。この認定制度を活用し「CLFZで生産された製品は関税がかからない」という国際通商ルールを策定することをデロイトトーマツが提案しています。CLFZ認定制度が世界に普及しCLFZ産品の関税撤廃が実現されれば、児童労働を用いない企業の方が「儲かる」好循環が生まれ、無理なく持続可能な方法で児童労働の撤廃に繋げることができます。フェアトレード製品のように認定製品を高い値段(適正価格)で購入するようなエシカルな消費行動に頼るのではなく、児童労働を用いなければ価格が低く抑えられ、消費者・企業・生産者にメリットが生まれる仕組みを構築したことが画期的です。このような大胆なアイディアで課題に取り組むことは、SDGsの目標達成に向けて理想的な形の一つであると考えます。児童労働撤廃についてはSDGs目標「8 働きがい」のターゲット7に掲げられており、以下にある他の目標達成にも関連しています。
得意分野で貢献:まるかつ「無料食堂」
2018年5月に奈良県のとんかつ店「まるかつ」は、困っている人に無料で食事を提供する「無料食堂」を始めました。相対的貧困の問題に対して、料理人として出来ることを考え行動に移した結果、その純粋な優しさと行動力に常連客をはじめとする多くの人々が共感し、活動を応援しています。「無料食堂」の他にも、食品ロスへの取り組みや花粉症割引など、ユニークなアイディアでますますファンが増え、とんかつ店のビジネスとしても「無料食堂」としても持続的に発展しています。他者を思いやり善意を形にするため、自分の得意分野で貢献した結果、自然に理想的なSDGsの流れが生まれました。「無料食堂」はSDGs目標「1 貧困」と「2 飢餓」の廃絶に貢献し、食品ロスに関しては「12 つくる責任 つかう責任」の目標に貢献しています。
section 2.3. 無理なく継続的にできることを考える
調べてみると、非常に多くの企業や団体がSDGs達成のための取り組みを行なっていることがわかります。まずはこうした取り組みを応援しつつ、それらを参考にして自分にも無理なく継続的にできることはないか考えてみましょう。多くの人々がアイディアを出し合い、それぞれの得意分野を持ち寄って行動を起こすことが必要とされています。
Transforming our world
「世界の形を変えよう」
SDGsが定められた文書のタイトルはこの言葉から始まります。
Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development
このポジティブで力強い響きを胸に、私たちが世界を変えていきましょう。
出典
- SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン 国際連合広報センター
- 持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを解説 (2020.12) gooddo マガジン
- 「浸透が進むSDGs コロナ禍のいま、生活者が考える「優先的に取り組むべき」ゴールは?」 (2021.2.24) インテージ 知る Gallery
- 2020年、SDGsが学生にもさらに浸透!その理由に迫る (2020.5) by Cross Marketing
- SDGsの認知は51.9%と半数を超えるも、意識して行動する人は1割程度【ネオマーケティング調査】 (2020.12) by MarkeZine
- FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく ハンス・ロスリング 著
- ガーナ便り「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン設立のためのガイドライン文書」がついに発効となりました! (2020.4) ACE
- コミック “Fair and Beyond”「経済合理性のリ・デザイン」による社会課題解決の提案~児童労働撤廃~ デロイトトーマツ
- 「まるかつ無料食堂」について (2018.5) まるかつ
- SDGsが生み出す未来のビジネス 水野雅弘、原裕 著